思考症

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夏の恐怖小説特集 「黒いワンピースの少女」

白い肌の黒い目が じっとこちらを見つめていた


思えば最初に見たのは 私がまだ小学生だった時のことだ
近所の悪ガキ連中が集まるような駄菓子屋の近くで見た記憶がある

人が3人くらい座れるベンチにいつもひとりで腰掛けていた
不思議とそのベンチには 彼女以外誰も座ることがなかった気がした

彼女はいつ見ても 白のラインが1本入った黒のワンピースを着ていた
そしてそれに合わせるかのごとく 黒猫をいつも連れて遊んでいた

私が彼女を見たとき決まって彼女は私を睨み うつむき加減で視線を逸らす


私達が大人になるにつれて彼女も大人になり ワンピースのサイズも大きくなった

いつの間にか私達はあの駄菓子屋に行くことも無くなり
学校へ行くとき 自転車で通り過ぎるだけの関係になってしまった

けれど彼女はいつ見ても 黒猫を抱えてベンチに座っていた
私達より下の世代が駄菓子屋に出入りするのを 気にも留めず

一度だけ 彼女の姿をまじまじと見たことがある
下校中に自転車がパンクし 仕方がないから歩いて帰っていた時だ

ベンチにもたれ掛かってうたたねをする彼女の肌は白く
足首のところで組まれた細い足に 黒い猫がくるくると身を委ねていた

それまで怖いばかりだった彼女の姿が なんとなく薄水色のイメージに見えた瞬間だった


その後両親の離婚により 私は転校して母と暮らすようになった
通学路も変わってその店も通らなくなり 彼女を見ることも無くなった

それ以来彼女の事も失念して 普通の高校生活を歩むようになった
やがて高校を卒業して大学生になり 10年目の同窓会を迎えるあの日まで

私は彼女の事を思い出すことなんて 遂に一度も無かった


きっかけは友人の「そういやあの店 潰れたんだってな」という一言だった
昔話に花を咲かせる彼らを別に 私は急に思い出して気掛かりな事があった

「そういえばあの黒いワンピースの女の子 どうなったんだろうな」

彼らは怪訝そうな顔でこっちを向いた 耳を疑った者も居た
一人が重たい口を開き 私に向けて問い返した


「何なんだい? その女の子っていうのは」


気付いたら私は 店のあった場所に向かって走っていた

彼らに彼女は見えていない 私にしか彼女は見えない
信じられないが信じるしかない真実を振り切るような全力疾走だった

懐かしいあの場所に着いたとき 私はその目すらも疑った


商店街の一角に 駄菓子屋のあったところだけが綺麗な空き地になり
そのちょうど真ん中で ベンチに座った黒いワンピースの少女が黒猫をなでていた

彼女は大人になった今でも幼さを残した目で こっちを見つめていた


彼女は初めて口を開いた ひどく小さな声だったがなんとか聞き取れた


「なんでわたしのこと いままでずっとわすれていたの?」


意を決した私は 初めて会った時から抱き続けてきた恐怖を
これ以上無い 直線的な言葉で彼女に問いかけてみるのだ


「一体君は 何なんだ………?」


彼女は音もなく私に近寄って 小さな声でささやく



「わたしはあなたにしかみえないそんざい
そしていまから あなたはわたしにしかみえないそんざっ………そんざいになるの」





こういう大事な場面でセリフをかんでしまう事こそ

本当の恐怖だと言えないだろうか
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  1. 2006/07/31(月) 23:40:17|
  2. その他
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

…。

アタシが馬鹿だった(笑)
ホラーかイイ話か悲哀モノかと思ってたよ。そらそうだよね、日記のネタが無くなったらこんなんに走ったりもするよね…。

…ところでこのモデルの駄菓子屋って6丁目電停付近のあそこですか??(笑)
  1. 2006/08/01(火) 13:31:51 |
  2. URL |
  3. 悪魔 #OARS9n6I
  4. [ 編集]

確かにネタ切れしました感がプンプンするオチだなぁ 今見たら
ちなみに書いてる途中でオチが浮かぶ前は「怪奇小説特集」というタイトルでした

あの駄菓子屋は数回しか行ったことがないのよ
よく行ってたのは 1丁目の団地近くにあった「ミチル」って店
ミニ四駆走らせたり ガムの当たりくじを7回連続で当てたりしてた
商店街のイメージも やや寂れたような感じが好きだったのね
  1. 2006/08/01(火) 22:46:12 |
  2. URL |
  3. 我流at管理人 #N8lWyR9g
  4. [ 編集]

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